コラム column

vol.10

Q. 登場人物の描き分けができません

海猫沢 めろん

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みなさんおはようございます。
朝の5時ですが、そろそろ夕食を食べます。
前回あんなにも暗黒剣に気をつけろと言っておきながら、暗黒剣使ってます。
つらい。
今回のご相談はこちら。

今月の相談者:鳴神紫蘭さん(学生)
執筆歴:2年
ご相談内容:登場人物の性格に深みを持たせることがすごく苦手なのですが、何かコツはありますか?
話が進むうちに似たような性格に寄ってしまったり、登場人物同士の外見が混ざってしまうことが多々あります。
そのせいで、主人公など目立って欲しい人物が霞んでしまうこともあって、悩んでいます。

キャラの書き分けってむずいっすよね……ぼくもよく混乱します。
でも、この悩みは、最低限のことをやればクリアできると思います。

今回は、簡単にキャラクター設定を整理できるワークシート付きです。

その前に、人物設定については

そもそも人物思いつかない、作るのが苦手
作ったはいいけどうまくいかない

の2パターンあると思うんですけど、鳴神さんは後者だと思うので、

「書き分けと立たせ方」

ということで進めさせてください。
今回は全部で3ステップありますが、まずはステップ1から。

ステップ1 3つの項目をもとにキャラクターを整理する

まずは作品の登場人物を、エクセルやメモで整理してください。一応かんたんなファイルも用意してみたんで、よかったら使ってみてください(一番下にあります)。

まず、整理項目は最低限3つ。

役割、関係性、重要度」です。

ひとつずつ説明します。

◎役割
「主人公」「敵対者」「協力者」「助言者」とか、あるいは「探偵」「犯人」「被害者」など、物語のなかの役割のことですね。

純文学など、現実寄りの小説の場合は「キャラクターが複雑でかんたんに分類できません!」ということもあるでしょうが、今回の相談はそっちじゃないので割愛します(そっち方面は改めてご相談ください!)。
最低限、「主人公」「対抗者」「協力者」「謎の人」「犠牲者」「依頼者」がいると書きやすいです。

◎関係性
これ、超重要です。ぺらぺらの場合でも、ここを調整するとうまくいくことがあります。
兄弟、親友、恋人、会社の上司と部下――とかだけじゃなく、片思いしてる、憎んでる――など感情も含めてください
ちなみに、人物が単純で浅い、というのは、「どの登場人物視点から見ても同じに見える」ということです。Aは、B視点とC視点では見え方が逆、という角度をつけると複雑な人物に見えたりします。

具体例でいうと、ぼくが『夏の方舟』という作品のなかで描いた、小田桐という人物がそうです。秘密も守らない、なんでも笑い話にして悩まない、うすっぺらい軽薄な人間です。一緒にいる主人公の巻村も最初はそう感じている。
ところが、そのことに救われている自分に気づく――そうすると、

巻村は、小田桐に人間的な深みを感じなかった。だが、彼に備わった美徳は人間的なものではなく、動物としての魅力だったのだ。それは時に、理解できない人間からはうすっぺらく見えてしまう。

というように、同じものがちがう解釈になり、ちょっと複雑になります。

関係性を把握するには文字ではなく相関図がわかりやすいので、フリーソフトのFrieve Editorがオススメ。

◎重要度
その作品における人物の重要度を、★や数字で判断してください
すると、「これは誰のなんのための物語なのか」が、自分のなかではっきりします

例えばぼくの作品、『キッズファイヤー・ドットコム』はカリスマホストが赤ちゃんを育てる話ですが――赤ちゃんはほぼ行動できません。しかし、テーマはこの赤ちゃんをめぐるものです。重要度はとても高いです。でも主人公も同じくらい高いわけで、両方を描きたい……どうしよう……うーん。

ということで、変則的ですが、前半で赤ちゃんを中心にした主人公たちの活躍、後半はその赤ちゃんの成長した姿を描きました。通常は、主人公をひとりにするほうが読者には伝わりやすいのですが……自分のなかではどうしても重要度が同じだったので、こうなりました。

ステップ2 全体のバランスを検討する

表と相関図をつくった段階で、かなり問題と改善点が判明したのではないでしょうか? よく陥りがちなのは、

同じような役割の人物が複数いる
相関図に影響しない人物がいる
重要度の低い人物が物語の中心になっている

このへんです。
もしひっかかっていたら再検討の余地があると思います。具体的にやることは、

同じ役割の人物が複数いるならひとりにまとめる
相関図を見て、関係性をつけくわえたり消したり
人物の重要度と物語内の出番などのバランス検討

これができたら最後です。

ステップ3 キャラの見た目や履歴・口調を検討する

ステップ1、2を経るとおそらく自分が書いている物語が、誰の物語でなにをするべき物語なのか、かなりはっきりしていると思います。
この段階にきたら、もう一度設定を見なおしましょう。
試しに三人以上いる場面を書いてみて、違和感なければ問題なし。

……ちなみに、どうしてもかき分けができないという場合は、口調と見た目に極端な個性をつけましょう

言うまでもなく小説の場合、絵がありません。見えるのはセリフです。つまり、固有の口調や口癖などがあると見分けがつきやすい。

たとえば猫は語尾が「~にゃん」犬は「~わん」たぬきは「~ぽん」だと、読者は絶対に間違えません……が、使いすぎると世界観がぶっ壊れるので気をつけましょう。

容姿や外見的要素は毎回書かれるわけではありません。それでも人物を表現する重要なポイントです。
似たような背格好の人物は、読者が混乱してしまいます。どうしても譲れないポイント以外は、身長、体型、服装などで差をつけてわかりやすさを心がけましょう。

以上です! すいません長くて。

人物設定は物語とセットで考えよう

人物設定やキャラクターづくりというのは、みんながいちばんやりたい部分だと思うんですよ。
だけど、一本の作品として完成させるためには、物語とセットで考えないといけないので、そこが難しいところだと思います。

このステップ1~3は順番にやるのが理想ですが、3からはじめても大丈夫です。つまったときにどれかをチェックする、というふうに使ってください。スムーズにやれているときは気にせず進めてください。
ノープランで粘土をこねるようにぐちゃぐちゃやりつつ、途中でチェックするとかも良し、堅実にイチから設計するのも良し。自分が楽しい方向でやってください。

さらに、これでも悩みが解決しない場合は……一旦全部捨ててください! で、もっと別のやり方――そうですね、このサイトの記事、

「好きなキャラの属性だけ変えて、魅力そのまま出しちゃえ!」
https://monokaki.everystar.jp/howto/nonseries/2365/

なんかを試してみてください。
とにかく創作は無限のやりかたがあるので、必ず自分に向いてる方法があります最初はうまくいかなくても、回数を重ねればかならずうまくなります
ではまた次回! ね、ねねねねむいいい!!

*

「生き延びるためのめろんそーだん」では読者の皆様からのご相談を募集しています。
応募方法は簡単。こちらのフォームに記入するだけ。
Web小説を発表している方は、お悩みとあわせて作品も読んで回答します。お悩みお待ちしております。

以下にWordのファイルも用意していますので、キャラクター作りに活用してもらえたら幸いです。
(クリックでダウンロード可能です)

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