こんにちは。俺です!
先月、いきなりパニック障害になってマジでやばかっためろん先生です!
休日の朝から駆け込んだ某有名チェーン系クリニックがクソすぎてマジでブチギレそうでしたが(流暢にバウムテストとかってなんなんだよ! お絵かきしてる場合じゃねえんだよ!)、最近の薬はスゴイですね……ドキドキが止まらない状態だったのに、数時間で何も考えられない状態に。無ですよ。無。
そんな鈴木大拙先生ばりに絶対無なパワーで乗り切った秋でしたが、今この瞬間、俺がいる「びっくりドンキー」でボブ・ディランの『Knockin’ On Heaven’s Door』が流れてきたので思い出したんですけど、こないだジャズミュージシャンの菊地成孔さんに、
「海猫沢さん、若いときのボブディランに似てますよね」
と言われたんです。
そういえば、確か以前、川上未映子さんからも、
「めっちゃ似てる!」
とボブディランの写真が送られてきたオシャレ界の男女ともに認めるボブ・ディランのドッペルゲンガーことめろん先生なわけですが、ディランといえば音楽。
そういえば前回募集した音楽小説が集まってきていた!
読まねば!
書かねば!
ということで、今日の一本目をさっそく紹介したいと思います。先に言っとくと傑作です。
作品名:敗戦記
作者:猿川西瓜
URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054880624814
紹介文の「少し昔のフリースタイルバトルに参加した頃の話」という衒いのない説明そのままです。
1999年から「B BOY PARK」で一般参加MCバトルが始まり、2012年にスカパーTV「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」、2015年地上波「フリースタイルダンジョン」が開始、そういう流れの中にある時期でしょうか。
この作品のいいところは、HIPHOPという「音楽」がそのまま小説になっているところです。
たとえばクラシック音楽をテーマにした恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』という作品がありますが、音楽表現部分は主に比喩という形で表現されます。
ところがHIPHOPやラップは「言葉」自体が音楽になっており、音楽表現はそのまま韻とリズムを持った文章で表現されることとなります。
ラップのリリックは素で見るとダジャレのようですが、そこに技術や情熱や表現力が加わることで素晴らしいものになるのは、MCバトルを見たことがあればわかると思います。
この小説の場合、それは地の文とそこからにじみ出る書き手自身の境遇によって補われます。
「HIPHOP」と「小説」、そのどちらにも共通する「言葉」と、負け犬たちのワンスアゲイン感@RHYMESTER宇多丸。
つまりこの小説は、表現形式と表現内容が完全に一致しているのです。
作品にラップを取り入れた小説家は、いとうせいこうやモブ・ノリオなど、昔から常に存在しています。
あるいはMC漢の自伝『ヒップホップドリーム』から漂う文体のフロウはHIPHOPそのもの。
ラノベでは、『韻が織り成す召喚魔法-バスタ・リリッカーズ-』が印象に残ってます。ラップで戦います。
だから俺も即興のラップでアンサーします。
とにかく本作、贋作とは言わせないなにか本物のヴァイブスが宿ってる。言葉と戦って敗北しつづけるさだめ、そんな作家たちのため、書かれた鎮魂曲でもおまえ悔いねえはず。形式と内容一致、形而上の太陽存在しない熱を生むフリースタイル、好みのタイプ。眼の前に這いつくばるライバル蹴散らす、バルキリーガゥオーク形態、ジュード・ロウ、なみのイケメン野郎。フルボッコで整形だろう?定形壊すおまえの小説、受け取ったぜ。敗戦記?観戦記よりマシ感電死本望。それ本能だろ。さっさと立ち上がれ。戻って来い、創作という名の、そう地獄。
短いながらも良い小説です。
できればもっとこの物語の続きが読みたいと思いました。
あと、ちょっと捕捉しておくと、インターネットの世界でもゼロ年代前半くらいにチャットBBSでMCバトルする文化があったんですよ。
忘れちゃうくらい小さなところだったんで、あまり話題にもなってませんが、ぼくはよく覗いていました。
そのときの彼らの本気度と、練られたリリックは音楽みたいにまだ印象に残ってるんですよね。
この小説読んでて、そういうことを思い出しました。
というわけで次、これです。
作品名:硫酸ピッチ!〜バンドマンになったエスパーなおれの初カノジョの正体が、実は〇〇〇だった話〜
作者:イガラシ文章
URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054886687942
あらすじを読めばだいたいの雰囲気がわかる! 話が早くていいですね。
という惹句どおりにそんなかんじです。なるほど、わからん。でも最初の作品とは対照的に、どことなく青春の楽しそうな部分が音楽とともに表現されていて好感が持てます。
異能力とか、いろいろなものをごった煮にしてぶち込んでる感じも好きですね。
とか、メタい文章もところどころあってWeb小説ならでは。
商業作品みたいなちゃんとしたものもいいけど、Webだからね。好きにやればいいんですよ。
読んでいて頭の中にロックが流れてくる小説です。
まだ最後まで書かれていないので、ラストが読めないひねくれ系作品1)12月14日に完結。。
がんばって!
さらに最後はこちら。
作品名:両翼少年協奏曲〜WINGS Concerto〜
作者:さくら怜音
URL:https://r.estar.jp/_novel_view?w=25254155
なんだろう……読んでいてドキドキします……。
初期衝動があふれていて、イチャラブ感とかドキドキ感がすごい。
中学校のころ、めっちゃ少女漫画読んでたんですけど、そんときの感じが蘇ります。
イラストも豊富で、さらにファンクラブもあります
すげえ……。ボイスコンテンツなんかもあって、超充実。
ライトBLなキラキラ感と少女漫画感が合体して、脳内ですごい電子音楽が鳴り響く……。
この世界に流れてるのってどんな音楽なんだろう? と想像したくなってしまうときめきと輝きに満ちた小説です。
どんどん世界をひろげていって欲しいですね。
というわけで、今回のテーマは「音楽小説」でしたが、他の投稿作もマジでいい作品が多かったですね。音楽と小説の相性がいいのかな?
そんななかでも特に冒頭に紹介した「敗戦記」は、今書かれるべき音楽小説だと思いました。
ボブ・ディランがノーベル文学賞を取ったように、音楽とともに言葉を紡ぐ人々もまた、現代の吟遊詩人であり語り部なのです。
次回は、「ファッション」をテーマにした作品を募集します。
「ファッションが大好きな主人公」もアリですし、逆に「好きな服を着れないのには理由があって……」という展開でもいいですね。
応募方法は簡単。
monokakiの公式Twitterをフォローの上、ハッシュタグ#Web小説定点観測をつけて、自作のURLをツイートしてください。
もちろん、ストック作品ではなく今から新たに書いてくれるのでも大歓迎です!!! 短編でも未完結作でもガンガン読みます。
「Web小説定点観測」は毎月第3火曜日に更新です。
ではまた。
1. | ↑ | 12月14日に完結。 |
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