小説レビュー review

vol.14

創作はダメ出しされてもうまくなりません

海猫沢 めろん

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お世話になっております。海猫沢です。みなさんお元気ですか?
私はなんとか去年からの体調不良地獄から帰還しつつありますが、花粉というさらなる敵の襲来におびえております。殺してくれ……地球が合ってない

それはともかく、作家生活が長くなるとだんだんと人前に出る機会も増えて、服装とか美容に気をつけるようになるわけですが、中身はヒキオタニートの素晴らしきクソ野郎なのでぶっちゃけ面倒くさいんですよ。
ここで唐突に、そんな私がおすすめするファッションアドバイスですが、秋葉原のモードオフがおすすめです。
はっきり言って一般人の服はアニメキャラとかゲームキャラに比べるとダサい。
ユニクロの服のデザインとかモブキャラ以下じゃないすか。
もっと原色使って重力を無視してほしい
そんな希望に応えるべく、アキバのモードオフは古着に混じってコスプレ衣装売ってるんで完璧。
まあ私くらい古い世代の人間だと、ポリゴン数が少なくてカクカクしてるからいつも服着てると思われてますけど。基本全裸ですよね。尖ってます。八極拳とか使えますよね。

心の底からどうでもいい戯言はこのへんにして、前回に引き続き「ファッション」テーマの投稿作を紹介していきますよ!

まずはこれです。

落ち着いた筆致の「おっさんずラブ」!?

作品名:だって、ご家族なんです。
作者:麻生知朔とS
URL:https://estar.jp/_novel_view?w=25146273

会社の上司♂と部下♂が突然同居する事になった話。

朝起きるとリビングのテーブルに記入済みの離婚届が置いてあった。
自分の欄も記入して提出してきたら、(元)妻に力一杯引っ叩かれて……
結婚10年目からの29歳バツイチ。
そこから始まる新しい家族の話。

おおお、おもしろい!
アパレル業界を舞台に、上司と部下の同居ものラブコメ(?)……というと「おっさんずラブ」を思い浮かべる人が多いかも知れませんが、もうすこし落ち着いた筆致ですね。
メインストーリーも良いのですが、別キャラクター視点のエピソードが主人公たちの性格を掘り下げ、作中にはさまれるキャラクターイラストで和み……さらに食事メニューのレシピも。

本編以外でも小説世界を豊かにする情報がちりばめられている、そこはウェブならでは。
イラストや周辺情報というのは、本編がしっかりしていないとバランスが崩れるので難しいんですよね。しかし、この作品はそのあたりもまったく気にならないボリュームがあって、素晴らしいです。
と、ぼくがそんなことを言う必要もなく、この作品、すでに人気がありますね! 続けて書いていってください。

風景と自意識のバランス

作品名:ないものねだり
作者:カワシマハルナ
URL:https://note.mu/harunaki/n/nefa3735ee92b

彼女と出会ったのは四月、たった一ヶ月前のことだが、ひと目見た瞬間にもう、嫌いだ、とわかった。恵まれている人、だけど憧れはしない人。
服好きの彼氏と同棲する化粧品好きの主人公が語る、春の「ないものねだり」。

社会人になったばかりで彼氏と同棲している女性が主人公です。
彼女の内面吐露と、会社にいる優果という女性との関係性がメイン。一人称であまり改行のない文章が、主人公のはちきれそうな自意識と悩みをうまく表していて、読んでいると頭がいっぱいいっぱいになってきます。個人的には、

大学三年生の頃、わたしが書いたある作品がたまたま、とある新人文学賞の一次選考を通過した。もしかしたら作家になれるかもしれない、という淡い期待はあっけなく裏切られた。そうだ、世の中そんなに甘くない。大賞をとったのは、わたしのより明らかに拙く、流行に乗って奇をてらっただけにしか思えない代物だった。作者の受賞インタビューもがんがんに寒い自意識の塊だった。だけど、それに負けたということはまぎれもない事実で、しかも最終選考にすら残れなかったんだからその差は歴然で、なんだかもう頑張り方がわからなくなった。

いや……すいません、ファッションとは関係ないんですけど、この感じ、すげえわかるんですよね。読んでいて胸が痛い……。ぼくも投稿しているときこんなこと考えました。
ぼくは賞とかもらってデビューしたわけじゃないんで、(自分でゲーム作ってそれをノベライズしました)一つの価値観に縛られないでください。あなたの作品はすごくレベル高いです。

ラストの終わり方のキレがいいので、不思議な開放感があります。圧迫と緊張、からの開放。
作中人物と同じように、著者の方もなにか壁にぶちあたっているのだとしたら、見えている風景の解像度を高めてみてはどうでしょう。ふっと自意識が抜ける瞬間があるはずです。
それを小説に輸入できれば新しい感覚がつかめるはずです。

専門用語を自然に使う方法

作品名:君の赤いスーツ
作者:さつきな
URL:https://estar.jp/_novel_view?w=25324798

妻は一度も服を作ったことがない。
正確には金になる服を、だ。
しかし、妻はついに完成させた。
最高の一着。

モデルの夫とデザイナーの妻を襲った不幸をめぐる話。
「最高傑作のスーツのお話です。」
というシンプルなコメント通りのショートストーリーですが、淡々とした夫の語り口から狂気と悲しみがにじんでいます……怖い!
でも悲しい……でも怖い! という感情をやけに波立たせる作品です。

登場人物がデザイナーとモデルということで、業界の専門的な会話なんかがあるとさらに「なんかちょっと賢くなった!」感があって良いと思います!
でも調べて書くと調べて書いた感が出ちゃうんで、難しいですよね。
そういうときは、自然な会話のなかにさりげなく混ぜるとなじみが良いです。
実際にお店に行って店員さんの会話を聞いたりするだけでも違うんで、ぜひ日常でやってみてください! また作品期待しております。


と、いうわけで「ファッション」がテーマでした。
今回は告知を見て書いてきてくれた方もおられて、とても嬉しかったですね。いつもひとりで書いてる方は、たまには誰かに読んでもらう前提で書くと面白いと思います。
基本的に創作はダメ出しされてもうまくなりません(ココ重要)。
まずは「長所」を伸ばしましょう。短所は無視です。
多くの人は短所が気になるし、それを指摘されたくないので人に見せない……というループに入っていきます。ぼくは基本的に良いところしか見ません。まずは安全な創作場所、傷つけられない安心なところからはじめてみませんか。チャレンジはそのあとで良いのです。

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